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Channel: ショートストーリー【小説置き場】
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怪盗ルポン

 怪盗ルポンからの予告状どおりダイヤは盗まれてしまった。 部屋の照明が消え中央に飾られ厳重に保管されていたダイヤモンド『人魚の涙』は、明かりが点いた時には、すでにガラスケースの中から消えていたのである。 代わりにといってはなんだが『怪盗ルポン参上!』と書かれた名刺を残して……「くそ~っ またしてもルポンのやつ!」 地団駄を踏んで悔しがるインターポールの銭内警部。 しかし、あっという間の出来事。...

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エリカ

 最愛の娘「エリカ」が死んで1ヶ月が過ぎていた。 まだ3歳の娘は先天性の心臓病やった。 高額な治療費も無駄に終わってしもた。 もうこの世にはいない「エリカ」。 俺は悲しみに打ちひしがれて何も手がつかんかった。 仕事にも行かず、ただただ家でボーっとしてた。 そんな俺をたまりかねて妻のしのぶが言うた。『そんなに悲しんでも、もうエリカはかえってけぇへん。ふたりで前向いて……』...

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愚図愚図

「こうなったのも全部おまえのせいだ! あぁ、うるさい! うるさい! なんだ? その目は! この野郎! イテッ! こっちの手が痛てーじゃねぇか! 本当に世話のかかる奴だぜ! フン! フン! これはこっちの袋に…… これはこっち…… 右から左、右から左…… 右から左へ受け流す~♪ …………。 フン! くだらねぇ!  あっ、大きすぎる……はいらねぇなぁ…… くそ! ホント世話のかかる奴だ!...

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オモイ

 由香里が言った。「あんな嫌な奴、散弾銃で撃たれて死ねばいいんだよ!」 バイト先の先輩を容赦なく言う由香里に対して 麻衣が大笑いで答える。「アメリカじゃーないんだし、そんな事起きねーよ! わはははは!」 次の日の会話。「本当に死んじゃったよ」 マジで?って顔で由香里に言うと麻衣が答えた。「まるで私達の会話でも聞いてたみたいじゃん! ねぇ!」 クスクス二人で笑っていると...

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クリスマスプレゼント

 12月はじめのコンパで知り合った田川正雄と山下カノは、 いつもカノが朝食に立ち寄ると言うコーヒーショップへ着くと キリマンジャロとクロワッサンのハムサンドを注文した。 朝食と言うことは、昨日から二人が一緒で 熱い夜を過ごしたというのは言うまでもないが 一応、付き合って2週間経っていたことを付け加えておこう。 テーブルを挟んで対で話していた時にカノが正雄に囁いた。「見て見て、あの女の人。...

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合格発表

 高校受験というものは、人生にとってどんな意味があるのだろう? 平均寿命が年々伸びている昨今、75歳まで生きてとしても 高校受験で費やされる時間といえば、さほどの時間ではないように思える。 しかし、この時期の学生は人生最大のイベントといった感じで とにかく親も子も必死なのである。 と言う私もご多分に漏れず 今日、高校受験の発表を見に来た親の一人なのではあるが……...

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ゆうがお

 私の名前は「ゆうがお」 もちろん本名じゃーない。 私の仕事は水商売、いわゆる「お水」 この名前は今のお店のママがつけてくれたの。 理由は聞かなかったけど、自分なりに解釈すると「お水」の仕事は、まるで夕顔のように夕方から花が咲き始め 夜が開ける頃に花がしぼむのよ。 多分そんなとこから付いたのだろうと勝手に思ってるの。 みんなは私の事を略して「ゆう」とか「ゆうちゃん」などと呼んでくれているわ。...

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橘警察署長の事件簿

 山神家の壮大な土地の湖畔にその死体はあった。 水面より突き出した2本の足は、まるであの有名な作家である横溝正史著書で 後に市川昆監督で映画になった「犬神家の一族」のワンシーンを彷彿させるものだった。 ただ違ったことは、湖面から引き上げる際 映画では泥にまみれた顔をマドラーのように水面でかき混ぜて それを落とすと焼け爛れた不気味な顔が現れるのに対して...

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極道の妻

 私がこうしてドア越しに夫の姿を隠れて見ているのには訳があるの。 ふふっ、右手のピストルで背後から……バンッってね。  そもそも夫は、私と言うものがありながら  愛人をひとり、ふたり……いいえ、28人もつくって、 酒に博打に、すき放題やりたい放題、 私の存在を忘れたかのように楽しんでいる……  もう我慢の限界だわ……。 そんなある日、私に幸運が訪れたの。 家の箪笥の下から2段目に洗った下着をしまい...

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【tattoo】訪れる者、彫る者 、褒めるモノ⑧

  ニューヨークの港に近い薄汚れた路地にそこはあった。 店の出入り口の上、外壁から突き出した錆びた鉄の棒にぶら下がる看板には【tattoo】の文字。 この店は日系の若い男が一人できりもりしたいる……はずだ……。 男は、自分の左手を軽く握るとそのコブシを 自分の目線にまで持ち上げ、そのコブシに語りかけた。「ジム、またへんなのが来たよ」...

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怪盗ルポン

 怪盗ルポンからの予告状どおりダイヤは盗まれてしまった。 部屋の照明が消え中央に飾られ厳重に保管されていたダイヤモンド『人魚の涙』は、明かりが点いた時には、すでにガラスケースの中から消えていたのである。 代わりにといってはなんだが『怪盗ルポン参上!』と書かれた名刺を残して……「くそ~っ またしてもルポンのやつ!」 地団駄を踏んで悔しがるインターポールの銭内警部。 しかし、あっという間の出来事。...

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エリカ

 最愛の娘「エリカ」が死んで1ヶ月が過ぎていた。 まだ3歳の娘は先天性の心臓病やった。 高額な治療費も無駄に終わってしもた。 もうこの世にはいない「エリカ」。 俺は悲しみに打ちひしがれて何も手がつかんかった。 仕事にも行かず、ただただ家でボーっとしてた。 そんな俺をたまりかねて妻のしのぶが言うた。『そんなに悲しんでも、もうエリカはかえってけぇへん。ふたりで前向いて……』...

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愚図愚図

「こうなったのも全部おまえのせいだ! あぁ、うるさい! うるさい! なんだ? その目は! この野郎! イテッ! こっちの手が痛てーじゃねぇか! 本当に世話のかかる奴だぜ! フン! フン! これはこっちの袋に…… これはこっち…… 右から左、右から左…… 右から左へ受け流す~♪ …………。 フン! くだらねぇ!  あっ、大きすぎる……はいらねぇなぁ…… くそ! ホント世話のかかる奴だ!...

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オモイ

 由香里が言った。「あんな嫌な奴、散弾銃で撃たれて死ねばいいんだよ!」 バイト先の先輩を容赦なく言う由香里に対して 麻衣が大笑いで答える。「アメリカじゃーないんだし、そんな事起きねーよ! わはははは!」 次の日の会話。「本当に死んじゃったよ」 マジで?って顔で由香里に言うと麻衣が答えた。「まるで私達の会話でも聞いてたみたいじゃん! ねぇ!」 クスクス二人で笑っていると...

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クリスマスプレゼント

 12月はじめのコンパで知り合った田川正雄と山下カノは、 いつもカノが朝食に立ち寄ると言うコーヒーショップへ着くと キリマンジャロとクロワッサンのハムサンドを注文した。 朝食と言うことは、昨日から二人が一緒で 熱い夜を過ごしたというのは言うまでもないが 一応、付き合って2週間経っていたことを付け加えておこう。 テーブルを挟んで対で話していた時にカノが正雄に囁いた。「見て見て、あの女の人。...

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合格発表

 高校受験というものは、人生にとってどんな意味があるのだろう? 平均寿命が年々伸びている昨今、75歳まで生きてとしても 高校受験で費やされる時間といえば、さほどの時間ではないように思える。 しかし、この時期の学生は人生最大のイベントといった感じで とにかく親も子も必死なのである。 と言う私もご多分に漏れず 今日、高校受験の発表を見に来た親の一人なのではあるが……...

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ゆうがお

 私の名前は「ゆうがお」 もちろん本名じゃーない。 私の仕事は水商売、いわゆる「お水」 この名前は今のお店のママがつけてくれたの。 理由は聞かなかったけど、自分なりに解釈すると「お水」の仕事は、まるで夕顔のように夕方から花が咲き始め 夜が開ける頃に花がしぼむのよ。 多分そんなとこから付いたのだろうと勝手に思ってるの。 みんなは私の事を略して「ゆう」とか「ゆうちゃん」などと呼んでくれているわ。...

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橘警察署長の事件簿

 山神家の壮大な土地の湖畔にその死体はあった。 水面より突き出した2本の足は、まるであの有名な作家である横溝正史著書で 後に市川昆監督で映画になった「犬神家の一族」のワンシーンを彷彿させるものだった。 ただ違ったことは、湖面から引き上げる際 映画では泥にまみれた顔をマドラーのように水面でかき混ぜて それを落とすと焼け爛れた不気味な顔が現れるのに対して...

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極道の妻

 私がこうしてドア越しに夫の姿を隠れて見ているのには訳があるの。 ふふっ、右手のピストルで背後から……バンッってね。  そもそも夫は、私と言うものがありながら  愛人をひとり、ふたり……いいえ、28人もつくって、 酒に博打に、すき放題やりたい放題、 私の存在を忘れたかのように楽しんでいる……  もう我慢の限界だわ……。 そんなある日、私に幸運が訪れたの。 家の箪笥の下から2段目に洗った下着をしまい...

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